音と色
やぶくみこさんが、ぽーんとグンデル、ひとつ音をだす。
音はすぐに私の中に入ってきて、はっとしている間に一瞬、思考がとまる。音の余韻がカラダ中を大きく小さくぶるぶるかけめぐって、そして部屋にひろがってゆく。部屋にある屏風や襖や畳や天井が音を受けとっている。外のお庭で鳥がうたう。風がふいて枝を揺らして葉と葉がパタパタ音を出す。空や雲もまた、音を受けとっている。カラダの中と部屋の空間とお庭の鳥と葉と雲と空。堺なく響いてゆく音たちは、私自身の輪郭の堺を曖昧にして、空まで私のカラダとつなげてくれる。
色をぽたり、ひとつ色をおく。音と同じように、色も私の中に入ってきて、はっとさせ、カラダ中をすーっとめぐってゆく。
紙が色を受けとる。色の水は紙の中に入っていく。またひとつ、ぽとん。最初のぽとんと次のぽとんの色たちが呼応する。それらを紙は受け入れて互いが響きあう。最初のぽとんと次のぽとんでは、空間はまったく違う。
音がまわりを響かせるように、色もまたまわりを響かせて、私をあらゆるものとつながっていたことを思い出させる。 やぶくみこさんとfuuyanm二人の即興コラボライブ「きくね かくね」より
写真は、佐藤浩幸さん