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石のお話し


石の中には、たくさんの石たち。 千五百万年もの間、対話している。

父が亡くなって、死というものや生きている時間のことを深く感じている。

故郷の花巻に帰ったら、私の中の細胞たちはじんじん喜んでいた。 空や木々、山々 知っている景色 ことばの響きや表情 食べものの味

たくさんの花巻成分で私はできている。

・・・・・・・

「まあ、お待ちなさい。ね、あのお日さまを見たときのうれしかったこと。どんなに僕らは叫んだでしょう。千五百万年光というものを知らなかったんだもの。あの時鋼の槌がギギンギギンと僕らの頭にひびいて来ましたね。遠くの方で誰かが、ああお前たちもとうとうお日さまの下へ出るよと叫んでいた、もう僕たちの誰と誰とが一緒になって誰と誰とがわかれなければならないか。一向判らなかったんですね。さよならさよならってみんな叫びましたねえ。そしたら急にパッと明るくなって僕たちは空へ飛びあがりましたねえ。あの時僕はお日さまの外に何か赤い光るものを見たように思うんですよ。」

(「楢ノ木大学士の野宿」宮沢賢治)

長い長い会話


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